【第368回】WEB集客最前線 (需要配分時代の観光WEB戦略) 投稿日:2026/02/16|カテゴリ:コラム
【第368回】週刊観光経済新聞掲載の、弊社取締役本部長 小林義道によるWEBマーケティング インターネット徹底集客の記事のご紹介です。
今回のテーマは、WEB集客最前線 (需要配分時代の観光WEB戦略)について。

「施策は打っているが成果が見えにくい」という問題
前稿では、地方誘客予算の拡大と訪日市場の調整局面を背景に、観光WEB戦略の重要性が高まっていることを指摘した。本稿では、その先にある現場の構造課題と、今すぐ見直すべき実践論について考えたい。
地方誘客を進める中で、多くの事業者や自治体が直面しているのが、「施策は打っているが成果が見えにくい」という問題である。補助金を活用したサイト改修や多言語化、SNS発信などは進んでいるものの、集客や予約につながっていないケースは少なくない。その要因は、個別施策が戦略として統合されていない点にある。
特に顕著なのが、OTAと公式サイトの関係整理である。成長期においては、OTAは即効性のある集客手段として大きな役割を果たしてきた。しかし市場が成熟し、需要の奪い合いが起きる局面では、OTA依存は価格競争と利益率低下を招きやすい。にもかかわらず、公式サイトは依然として「情報掲載の場」にとどまり、選ばれる理由を十分に伝えられていない施設も多い。
「なぜこの地域なのか」「なぜこの宿なのか」という価値を、ストーリーとして提示する
本来、WEB戦略の起点となるべきは公式サイトである。そこでは価格や空室情報だけでなく、「なぜこの地域なのか」「なぜこの宿なのか」という価値を、ストーリーとして提示する必要がある。検索やSNSはあくまで入口にすぎず、最終的な意思決定の場は公式サイトであるという認識を、改めて持つべきであろう。
その上で、今すぐ見直すべき具体施策は明確である。第一に、OTAは「新規接点の獲得装置」と位置づけ、写真・説明文・口コミ導線を通じて公式サイトへの回遊を意識的に設計すること。第二に、公式サイトではトップページで価値が直感的に伝わる構成への再設計と、予約ボタンまでの導線短縮を徹底すること。第三に、公式サイト限定特典や会員施策によって自社予約比率を段階的に高めることである。
「誰に届いていないのか」を知る
また、地方誘客において見落とされがちなのが、データ活用の視点である。アクセス数やフォロワー数といった表層指標ではなく、どの市場から、どのコンテンツを経由し、どこで離脱しているのかを把握することが重要だ。「誰に届いていないのか」を知ること自体が戦略となる。
地方誘客予算の拡大は、単なる集客強化の好機ではない。OTAと公式サイト、広告とコンテンツ、発信と導線を一体で再設計するための転換点である。
WEB戦略とは、単なる集客技術ではなく、地域の価値を選ばれる形で届ける経営手法である。その本質に立ち返ることが、地方観光が持続的に成長するための確かな一歩となるだろう。
(株式会社プライムコンセプト 小林義道)
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