【第358回】WEB集客最前線(ひとり旅と節約志向が拓く新たな市場) 2025/08/20|コラム

【第358回】週刊観光経済新聞掲載の、弊社取締役本部長 小林義道によるWEBマーケティング インターネット徹底集客の記事のご紹介です。
今回のテーマは、WEB集客最前線(ひとり旅と節約志向が拓く新たな市場)について。

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【第358回】WEB集客最前線(ひとり旅と節約志向が拓く新たな市場)

じゃらんリサーチセンターが2025年7月に発表した「国内宿泊旅行調査2025」によれば、2024年度の国内宿泊旅行実施率は49.3%と前年度比でわずかに減少した。一方、旅行単価は平均6万4,100円と3,500円増加し、総市場規模は約8.1兆円に拡大している。
旅行の同行者別構成では、「夫婦2人での旅行」が25.6%で最多。次いで「ひとり旅」が18.0%と続き、個人旅行の存在感が増している。特に50代男性や若年女性において、ひとりで自由に過ごしたいという傾向が強まっており、旅の価値が「同行者との時間」から「自分との対話」へと変化していることがうかがえる。
他方、この1年間に旅行をしなかった人の理由として、「家計の制約で旅行にお金がかけられなかった」が22.0%、「将来が心配で支出を抑えたかった」が8.9%と、いずれも前年度より微増している。こうした経済的不安の広がりは、旅行の意思決定を左右する重要な要素となっている。
このような状況下で宿泊施設が取るべきWEB集客の施策は、まず価格に見合う納得感の創出である。単なる値引きではなく、「体験価値付き」「ひとり旅歓迎」「地域との交流」といった付加価値の訴求により、この価格なら納得と感じさせることが重要である。
たとえば、ひとり旅専用の宿泊プランを造成し、「ひとり歓迎」「誰にも気兼ねしない食事」「自由に過ごせるラウンジ利用」などを明記する。さらに、地元の飲食店や文化体験と連携し、ひとりでも参加しやすい体験型コンテンツを提供することで、泊まる理由そのものを強化できる。
また、旅行検討層の多くが「なんとなく行かなかった」「特にきっかけがなかった」と答えていることから、WEB上での継続的な接触も欠かせない。メルマガやSNSでの定期的な情報発信は、旅行を先送りにしている層にとってその気にさせるトリガーとなる。
市場は「数」ではなく「質」へと移行している。宿泊業に求められるのは、経済状況への配慮と旅の価値設計を両立させるWEB戦略である。ひとり旅という新たな主流と、旅行を迷う人々の背中を押す仕掛けの両輪が今後の鍵を握る。
 

観光産業再生促進事業

経営改善や省力化を目的とした設備投資を支援する制度であり、宿泊業を中心とする観光関連事業者が対象となる。
①内容:PMS、自動精算機、空調・照明の省エネ機器、スマートチェックイン等の導入
②補助額:補助率は2/3以内、補助上限700万円
③受付期間:令和7年7月16日~令和7年9月26日
申請は電子申請システム「J-Grants」にて行う必要があり、GビズIDの事前取得が必須。早期の準備が望ましい。

インバウンド受入環境整備高度化事業(二次公募)

訪日外国人旅行者の受入環境を整備することを目的とした制度であり、多言語対応やキャッシュレス対応などが対象となる。
①内容:多言語化、キャッシュレス対応、外国人向け観光導線整備など
②補助額:補助率1/2、補助上限は事業内容により異なる
③受付期間:第1回締切は令和7年7月25日、第2回は8月29日
特に外国人旅行者の増加が見込まれる地域においては、地域全体での申請も視野に入れたい。

中小企業省力化投資補助金

観光業に限らず、サービス業全般を対象とした補助金であり、人手不足の解消や業務効率化を目的とした設備導入を支援する。
①内容:配膳ロボット、自動精算機、AIチャットボットなどの導入
②補助額:補助率1/2、補助上限750万~1,500万円
③受付期間:随時(複数回公募)

いずれの補助金も、実際の現場の課題と照らし合わせながら、無理のない範囲での導入が基本である。
制度をうまく活用することで、現場の省力化やサービス品質の向上が図れることを期待したい。


(株式会社プライムコンセプト 小林義道)

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