【ホテル・旅館】宿泊税の内容と対応について_2025年8月 2025/08/07|スタッフブログ

こちらは、OTAにおけるマーケティングや煩雑で面倒なプラン入力を一括管理で代行する「WEB集客サポートサービス」のスタッフが、宿泊施設様が気になっている情報や豆知識など様々な情報を提供する記事サイトです。

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【ホテル・旅館】宿泊税の内容と対応について_2025年8月

2024年10月10日に、観光振興を目的とした【宿泊税】についての投稿をいたしました。
過去記事はコチラ⇒https://prime-concept.co.jp/topix/detail.php?id=575

当時でも多くの自治体で宿泊税導入についての議論が起こりました。
そして、2025年7月31日には「総務省が北海道での宿泊税の新設について同意」とニュース報道があり、
弊社が担当させていただいております施設様からもお問い合わせが増えてきました。

そこで今回は宿泊税の内容についてと、対応策について改めて確認していきたいと思います。
※あくまで対応例などは一例となります。実際には各宿泊施設様で収益や受け入れ対策などを検討しながら最もベストな方法でご対応ください。

■宿泊税とは?

「宿泊税」とは、ホテルや旅館などの宿泊施設に宿泊する際に「宿泊客が支払う税金」の一つです。

法定外目的税として地方税の一つとなっております。
各地方自治体が条例を制定した後に総務大臣が同意することで導入できる税金です。
宿泊者が宿泊料金とは別に負担する税金となり、宿泊施設が宿泊客から徴収して各自治体に納める仕組みとなっています。
※課税基準や税率は地域ごとに異なります。

徴収された税金は、観光地での地域振興や観光インフラ整備に充てられます。
 

■宿泊税の対象施設と課税対象について

​~宿泊税の対象施設について~
・「ホテル(カプセル含む)、旅館、民宿、ゲストハウス、一棟貸し」などが対象となります。
 ※「国家戦略特区による特区民泊」、「住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく届出施設」も対象となり、民泊も課税対象です。
 ※基本的には「旅館業法に係る施設又は住宅宿泊事業法に係る住宅」において、宿泊料金を支払って宿泊をする宿泊者が納税義務者となります。

~宿泊税の課税対象について~
・【宿泊税】での課税対象となるのは、基本的には『素泊まりの料金』と『素泊まり料金に対してのサービス料』の合計金額となります。
※民泊でよくある「清掃代・リネン代」についても、課税計算対象となる宿泊料金の合計金額に含まれます。
※上記記載の課税対象の内容は、今後、内容の異なる自治体がある場合がございます。
※消費税や飲食代、入湯税などの宿泊以外のサービスに関わる費用は課税対象外となります。(対象外例:食事、冷蔵庫の飲料、結婚式、宴会、エステ、プール、サウナ、ビデオ、クリーニング、電話、駐車場、体験ツアー代 など宿泊以外の任意サービス)
※課税対象の金額や税率は各自治体により定められる条例によって異なります。
※修学旅行などの参加者や認定こども園の行事参加者は課税免除になるなど、自治体により異なるケースがあります。

・宿泊税は、課税対象の宿泊料金に対して、「定率制」・「定額制」と自治体によって異なりますが、
 基本的には「1人1泊あたりの宿泊料金」となり、連泊の場合には連泊泊数分での徴収が必要です。
 例①:2万円未満 100 円、2万円以上5万円未満 200 円、5万円以上 500 円
 例②:一律2%(北海道虻田郡倶知安町 ※2026年4月以降3%に変更)

■宿泊税の支払い方法と、料金改定の検討

●宿泊税の支払いは、基本的には宿泊者が宿泊施設での精算時に行います。
 支払い方法は現金、クレジットカード、QRコード決済など宿泊施設で決められた清算方法でお支払い可能です。

●特に注意しなければならないのは、OTA(オンライン宿泊予約サイト)で予約をした場合です。
 宿泊単体での予約の場合は、各OTAサイトでは事前に宿泊税を徴収することができません(宿泊料金への上乗せ設定は除く)。
 これは各自治体によって課税金額と定率制・定額制の条件が異なるため、現時点でのシステムとしては計算が困難となるためです。
 そのため、宿泊客と清算金額についての認識相違によるトラブルが発生する可能性があるため、
 事前に宿泊プランや基本情報での案内や、チェックイン時にしっかりと説明するなどトラブル防止の対策が必要です。 

 また、飛行機と宿泊がセットになったダイナミックパッケージ(DP予約)に関しては、
 原則として現地での徴収が認められていないため、DP予約については後述のように対応が異なります。

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<料金改定の検討>
現地での宿泊税徴収トラブルを避けるために、下記のような方法も検討としてあります。

●販売料金に宿泊税相当額を上乗せする方法。
 現在の販売設定価格に、計算した宿泊税を上乗せしての「税込み総額表示」として販売することで、
 総額表示での安心感や現地での宿泊税徴収が発生しないため徴収漏れやトラブルを避けることができます

 ※ただし、OTAでは送客手数料が上乗せした金額にも発生するため、その分をどのようにするかの検討が必要となります。
  また、総額表示として元々の金額よりも高くなることから、今まで競合と同じ価格で販売していた施設にとっては“自施設が高く見える”といったデメリットも発生します。

 特にビジネスホテルやカプセルホテルなど、可能な限り低価格に見せたい場合には対策を良く考える必要があります。
 「高く見えることを避ける」、「徴収トラブルを避けたい」、「割引の一種として競合より安く見せたい」として、既存料金をそのままに“宿泊税吸収型”とする施設様もあるかと思います。
 同価格帯での競合が多くある様な施設では、この方法で稼働重視施策とすることも有効ではありますが利益率はしっかりと確認するようにしましょう!

重要なのは、全体のバランスを十分にシミュレーションしたうえで、自施設にとって最適な方法で対策を講じることを検討することです。
また、「販売料金に含まれている」、「現地でお支払いいただく」はプランなどで、しっかりとお伝えしましょう!

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宿泊施設での設定例 DP(AIR+ホテル)編

【宿泊税】の大きな特徴としては下記です。
 ① 各自治体によって『課税対象の金額や税率』が異なる。
 ② 基本的には『素泊まりの料金』と『素泊まり料金に対してのサービス料』の合計金額となる。
  消費税や飲食代などの宿泊以外のサービスに関わる費用は課税対象外となるのが基本となり、
  地域によってはお客様の予約条件によって税額が異なることとなります。

宿泊単体商品の場合は「販売料金に含まれている」、「現地でお支払いいただく」を宿泊施設側でコントロールできますが、
「飛行機と宿泊がセットになったダイナミックパッケージ(DP予約)」では、基本的に現地徴収が認められていません。
そのため、DP商品(AIR+ホテル)ではどのように対応したらよいのか、
いくつかのOTAでのDP商品の特徴と対応例を確認してみました。

~DP商品取り扱いで確認できたサイト~

●宿泊税を自動徴収するOTA:ANA旅作、JALパック、じゃらんnet、楽天トラベル、一休.com、e宿
●宿泊税を現地徴収するOTA:るるぶ、ツアービルダー


※「ANA」と「楽天トラベル」については、期限までに専用のWEBフォームから宿泊税請求の申請が必要なのでご注意ください!(入湯税の自動振り込みと異なります)
※2025年8月時点での確認できた情報です。万一誤情報があればご指摘くださいませ。
 基本的には2024年10月の調査内容と一緒ですが、2025年7月開始の「Relux(リラックス)」を追記いたしました。
※条件や仕様が変更となる場合がありますので、実際に設定する際には各社の条件を必ずご確認ください。
※記載の対応方法は参考例です。


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■ANAのDP(旅作)
・管理画面に宿泊税の設定項目はありません。(入湯税はありますが宿泊税はありません)
・ANAでのDP商品(AIR+ホテル)については、入湯税と同様で現地徴収は不可となりますが、宿泊施設からANA側へ請求が可能です。
・宿泊税分の請求については、宿泊施設様よりANA宛に申請を出す必要があります。

※プラン本文に宿泊税についての記載は不要です。
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■JALのDP(ジャルパック)
・管理画面の基本情報に宿泊税有無の設定項目があります。
・JALでは各プラン毎に「夕食代・朝食代等の金額」を設定することができ、システムで自動的に室料を割り出しての宿泊税を計算する仕様です。
そのうえで、宿泊代(サイトコントローラーから流した金額)にJALシステムで計算の宿泊税を自動追加してユーザーから自動徴収するシステムです。

※基本情報の項目にも基本食事金額を記載する項目があり、ここに金額を記載した場合には、“その後に作成”した宿泊プランにこの金額が適用となります。
1パターンの食事代の場合は設定しても構いませんが、複数の食事代が発生する場合には0円にしておき、各プラン毎の設定で金額を登録しましょう。
なお、基本食事代を設定した後に各宿泊プラン設定にて金額を更新した場合はプラン側設定の金額が有効となります。
※食事代金を0円のままにした場合は、消費税だけを除いた金額での宿泊税計算となります。(本来より高く徴収される可能性あり)
※対象自治体での宿泊税導入が決定した後にJAL側で「宿泊税あり」に切り替わりますので、宿泊税導入が決定したエリアの施設様は必ず管理画面を確認しましょう。
※徴収された宿泊税は自動的に宿泊施設へ支払われます。
※プラン本文に宿泊税についての記載は不要です。
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■じゃらんnetのDP(じゃらんパック)
・管理画面の基本情報設定に宿泊税の設定項目があります。(入湯税同様)
・じゃらん側でユーザーより自動徴収となります。
 ※じゃらんパック経由の予約については「諸税設定“あり”」の内容は宿泊料金と合算して支払いとなる仕様です。

※ANA同様に食事料金の金額設定項目はないため、どのように室料分を算出して徴収しているかは不明です。
※管理画面での「諸税設定“なし”」とした場合は、諸税分を通常の宿泊料金に含めて料金設定する必要があるのでご注意ください。
 ただし、宿泊料金に宿泊税を上乗せすると諸税分との判断ができないためシステム利用料などの各種料金が想定よりも多く発生します。
※プラン本文に宿泊税についての記載は不要です。
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■楽天トラベルのDP(楽パック)
・管理画面に宿泊税の設定項目はありません。
・DP(ANA楽パック/JAL楽パック)については、入湯税と同様で現地徴収は不可です。
・宿泊税分の請求は、別途施設側よりWEBフォームにて申請を出す必要があります。(JR楽パック赤い風船は申請不要)

※プラン料金への宿泊税上乗せ販売はしてはいけません。
※ANA同様に食事料金の金額設定項目はないため、どのように室料分を算出して徴収しているかは不明です。
※宿泊税を楽天側に「宿泊翌月の10日まで」に申請が必要です。(管理画面上部の「ヘルプ」から「宿泊税」と検索するとWEBフォームあり)
※プラン本文に宿泊税についての記載は不要です。
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■るるぶパッケージ
・管理画面に宿泊税の設定項目はありません。
・パッケージでの宿泊税は現地徴収にて宿泊施設様対応となります。
・プラン本文内に「宿泊税を現地にていただきます」と記載するのは可能です。※宿泊税の●●円金額記載は承認不可となるのでご注意ください。

※るるぶパッケージでの「入湯税は自動徴収で案内記載NG」。「宿泊税は現地徴収で上記のように記載はOK」。内容違うので注意が必要です。
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■一休.comのパッケージ
・管理画面に宿泊税の項目はありますが、管理画面からの操作は不可です。一休営業担当者様にご連絡ください。

※「DP食事代テンプレート」という設定項目があります。
 プラン個別設定ではないため、宿泊税の課税対象自動計算は1パターン形式となります。
 そのため食事代は平均額や想定としたい金額で設定する必要があります。
 複数の食事タイプが存在する場合は、1つの食事タイプのみを提供して価格乖離を避ける方法もあります。
※プラン本文に宿泊税についての記載は不要です。
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■e宿のDP
・管理画面に宿泊税の設定項目があります。
・「夕食代、朝食代」を記載する項目があり、サイトコントローラーから設定した料金に対して
 この項目で登録した食事代を自動計算して、室料に対しての宿泊税を自動上乗せで自動徴収となる仕様です。

※プラン毎での食事代設定ができず、1パターンのみの食事代設定となります。
 そのため、複数の食事タイプがある宿泊施設様の場合は販売方法を検討するケースがあります。
※マニュアルでは、「宿泊税をプルダウンから選んでください(対象地域●●)。食事代金を差し引くため、施設様の平均的な食事代金を設定してください。」と記載があり、複数の食事タイププランを販売する場合は「平均的な食事代金」とする必要があります。
 一休に記載したように、1つの食事タイプのみを提供して価格乖離を避ける方法もあります。
※プラン本文に宿泊税についての記載は不要です。
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■ツアービルダー
・管理画面に宿泊税の設定項目はありません。

※プラン本文に宿泊税の案内を記載して現地徴収となります。
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■Relux(リラックス) ※New
※2025年7月24日より、ダイナミックパッケージの取り扱いを開始。下記から条件が変わる可能性があります。
・管理画面に宿泊税の設定項目はありません。

※Relux側にて、「入湯税・宿泊税が現地にてかかる旨を別途表示されるようにする」との案内がありました。
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まとめ

【宿泊税】については、これからも多くの自治体で導入する可能性があり、実際に対応する際には戸惑うこともあるかと思います。
また、今後は各自社予約エンジンや、OTAでも対応方法が現状から変更になる可能性もあります。
もし、WEB操作でお困りのことがあれば、お気軽に【WEB集客サポート】についてお問い合わせください。
きっとお役に立てることがあるかと思います。

最後までお読みいただきいただきまして、ありがとうございました。

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