【ホテル・旅館】国慶節の訪日需要を読み解く 2025/09/11|スタッフブログ
訪日観光需要が大きく高まる「国慶節」が間近に迫ったいま、最新の訪日需要動向を読み解きます。
JNTOによると2025年7月の訪日外国人旅行者数は343万7000人、うち中国が97万4500人(前年比25.5%増)と100万人まで届かないものの、その水準に近づきつつあります。
今回は、2025年の国慶節を前に3つのポイントに注目し、今後の準備や対策のヒントをお届けします。
2025年 国慶節について
中国の国慶節は、人々が一斉に休暇を取り、帰省や国内旅行や海外旅行に出かけます。
2025年の国慶節は【10月1日(水)〜10月8日(水)】の8連休となり、旅行需要が例年以上に大きくなることが予想されます。
今年の春節も世界全体で378万人の中国人観光客が海外へ渡航し、そのうち約98万人が日本を訪問、前年比135.6%という大幅な増加でした。
また、前述の通り2025年7月の訪日外国人旅行者数のうち中国人が97万4500人(前年比25.5%増)と100万人の水準まで近づきつつあります。
こうした数字を踏まえると、2025年の国慶節はコロナ前を超える需要の波が本格的にやってくることが予想されます。
市場の変化に柔軟に対応しながら、この追い風をしっかりと取り込み、今後のインバウンドマーケット拡大へとつなげていきましょう。
出典:日本政府観光局(JNTO)
その中で韓国政府は2025年9月末から、中国からの団体観光客に対してビザ免除措置を実施すると発表しました。
参考:トラベルボイス(2025年08月06日)「韓国、中国からの団体観光客のビザ免除、2025年9月末から期間限定、10月上旬の国慶節連休に向けて」
10月上旬の「国慶節」大型連休に合わせたタイミングで、訪韓需要の獲得を狙ったものとみられますが、
今回の韓国のビザ免除は、「団体旅行は韓国へ」という流れが一層強まる可能性もあります。
最新動向を常にキャッチし、柔軟に対応する必要があります。
■ポイント① 直前予約の増加
近年、訪日外国人旅行者の予約傾向に大きな変化が見られます。
リードタイムが短くなっており、1週間前や当日で予約する旅行者が増加しています。
SNSなどにより情報収集のスピードが上がったことや、AIの発達により旅行計画を短期間で立てやすくなったことなども背景として挙げられます。
観光庁の訪日外国人消費動向調査 によると、2024年の中国人の訪日リピーター比率は61.1%と複数回日本を訪れたことがある中国人も多く、
日本を旅慣れた外国人旅行者が直前になって宿泊施設を手配する傾向が高まっていることも要因です。
実際に弊社がサポートしている宿泊施設様にヒアリングをしても、年々リードタイムが短くなり、
「日本に来てから宿泊施設を予約した」と答える訪日外国人旅行者も増えてきているとのことです。
【Trip.comデータ参照】
直近1か月の予約日ベースでのオンハンド状況を見ると、平均リードタイムは「43.48日」(日本全国のマーケットデータ)
以前よりも短くなっており、旅行者の予約傾向が直前化していることがうかがえます。
さらにエリア別に細分化してみます。
東京エリア:35.66日
ディズニーエリア:25.40日
京都エリア:36.55日
大阪エリア:34.56日
福岡エリア:40.89日
客室数・エリア・施設の特徴や宿泊形態により傾向は異なると思いますが、都市部のエリアではリードタイムが30日前後となっております。
国慶節まで残り半月程度となっておりますが、エリアによっては1週間前~当日に活発に予約が動くことも予想されます。
さらに国慶節前後の日程も動きが活発になっておりますので、直前まで在庫・料金のコントロールをしながら売上を最大化していきましょう。
海外OTAで早割プロモーションをかけている宿泊施設様は、直前割×返金不可などのプロモーションで確実な予約を獲得していくことも得策です。
■ポイント② 航空便の増便
国際線の運航数は、2024年後半から2025年にかけて着実に回復基調にあります。
特に東アジアを中心とした路線では増便が進んでおり、羽田・成田・関空といった主要空港に加え、地方空港への直行便も増加傾向にあります。
国土交通省「2025年夏期スケジュール 国際線定期便の概要」によると、
2025年夏期当初の運航便数は旅客便が5,675便、前年同時期(2024年)の+16%となりました。
中国の旅客便に絞ってみると、前年同時期比(2024年)で+47%と便数が増加しております。
昨年と比較すると大幅に便数を増やしており、今後も便数の増加が予想されております。
出典:国土交通省 2025年夏期スケジュール 国際線定期便の概要
なお、地方空港(成田、羽田、関西、中部、福岡以外の国際線定期便が就航している空港)でも前年同時気より大きく便数が増加(24年夏当初比:+37%)しており、
タイ、香港、中国、韓国便が増加を後押ししております。し(24年夏当初比で、タイ:+128%、香港:+86%、中国:+33% 、韓国:+30%)。
出典:国土交通省 2025年夏期スケジュール 国際線定期便の概要
地方空港への国際線直行便の増便は、従来都市部に集中していた訪日客を地方へと誘導する効果が期待でき、都市部以外への波及効果も大きくなります。
今まで訪日外国人旅行者が多くなかったエリアも地方空港への直行便増加により、訪日外国人旅行者の増加が見込まれる場合もあります。
海外OTAの分析画面を確認するなどして、訪日外国人旅行者の増加がみられる場合は国別プロモーションの設定をすることもおすすめです。
また、施設情報が正しい情報となっているか見直したり、多言語での情報提供をすることで「選ばれる」宿泊施設になる可能性が高まります。
■ポイント③ 民泊需要の増加
2025年に入り、訪日旅行需要の本格回復が進む中で、「民泊」の存在感が改めて高まっています。
コロナ禍を経て旅行者の滞在スタイルが多様化する中、Airbnbを中心とした民泊プラットフォームの利用拡大は、宿泊市場全体に大きな影響を及ぼし始めています。
【民泊需要拡大の背景】
①グループ旅行や長期滞在において、1人あたりコストを抑えやすい、という価格の優位性
②キッチン・洗濯機など生活設備を備えた宿泊施設が好まれ、長期滞在や生活体験型の滞在が可能に
③Airbnbに加え、Booking.comや楽天トラベルでも民泊物件が掲載され、ユーザーが比較しやすくなった
④民泊新法以降、合法的に営業できる環境が整備されつつあり、安心して選べるようになった
2025年7月15日時点での「住宅宿泊事業法に基づく届出及び登録の状況」を見ると、
北海道・東京都・千葉県・神奈川県・大阪府・京都府・福岡県を中心に住宅宿泊事業の届出件数が増加しております。
宿泊者の国籍別内訳としては日本人が36.1%(前年同期比121.2%)、外国人が63.9%(前年同期比169.0%)と外国人の利用が特に大幅に伸びていることがわかります。
出典:国土交通省 「住宅宿泊事業法に基づく届出及び登録の状況」
さらに、日本経済新聞によると大和ハウス工業は北海道や沖縄県で展開する民泊対応マンションの分譲を本格化させる、という報道もリリースされております。(日本経済新聞、2025年6月1日付)
参考:日本経済新聞「民泊対応部屋85%のマンション、大和ハウスが札幌で分譲」
飲食店が多いエリアであることも考慮され、民獏需要が高まることを見越した戦略となっているのではないでしょうか。
このように今までの「民泊=法的整備が不十分で規模が小さい」というイメージは覆されつつあり、
1棟貸のプライベート感のある空間やラグジュアリー且つ快適な空間として訪日外国人旅行者の注目度が上がっております。
Airbnbはホスト(宿泊提供者)に対するサービス手数料の仕組みを変更する方針を打ち出しました。
2025年10月末には、ホテルシステムを利用しているホストから自動的に新たな手数料方式に移行を開始し、
今までホスト・ゲスト双方がサービス手数料を払うという仕組みだったものが、ホストがサービス手数料15.5%を負担する形に変更するとのことです。
構造的にはBooking.comやExpediaと同じ構造となっており、大手海外OTAと肩を並べる存在になるのではないでしょうか。
参考:トラベルボイス(2025年09月08日) 「民泊エアビー、ホテル客室在庫の拡大を狙い、料金体系を整備、大手OTAとの競争へ【外電】」
民泊以外の宿泊施設様がAirbnbへ客室提供をすることは可能なため、
販路拡大の有効な施策としてAirbnbへの在庫提供も視野にいれていただくと新たなマーケットを獲得できる可能性が高まります。
TLリンカーン使用施設様は共通在庫サービスからの連動ができ、ねっぱん・手間いらず・Beds24などのサイトコントローラーとも連動が可能です。
これから迎える国慶節だけでなく、来年の春節に訪日外国人旅行者を取り込むための準備として販路の拡大のご検討いただくことをおすすめいたします。
そのうえでホテル・旅館などは民泊にはない強みとして、「安心感・サービス・体験」などという点でアピールすることが大切です。
■まとめ
今回は「国慶節の訪日需要を読み解く」ということで3つのポイントに分けてご紹介いたしました。
国慶節だけでなく、来年迎える春節の準備としても活用いただければと思います。
プライムコンセプトでは、ホテル・旅館の支援において1000施設以上の実績を持ちOTA集客の運用サポートも行っております。
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