【ホテル・旅館】オールインクルーシブの光と影|大ブームの中で生き残るためには? 投稿日:2026/04/16|カテゴリ:スタッフブログ
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「宿泊代にすべて含まれています」——。
かつては海外リゾートの贅沢として知られていた「オールインクルーシブ」が、いま日本の宿泊業界で一気に広がりを見せています。しかし、その急成長の裏では、経営の苦悩やユーザーの不満といった“歪み”も顕在化し始めています。

■ オールインクルーシブとは何か
オールインクルーシブとは、宿泊料金の中に食事やドリンク、各種アクティビティなどが含まれている宿泊施設やプランを指します。
利用者にとって最大の魅力は、追加料金を気にせず滞在を楽しめる点です。特にフリードリンクは満足度に直結しやすく、お酒好きにとっては大きな価値となります。また、通常であれば躊躇するようなアクティビティにも気軽に参加できるため、旅行先の楽しみの選択肢の幅が広がるというメリットもあります。
現地での支払いがない分、旅行でありがちな「最終的にいくらかかるのか分からない」という不安がない点も、支持される理由の一つです。
■ なぜ今、日本で拡大しているのか
もともとは、海外のリゾート地で広まっていたスタイルですが、現在では日本国内でもリゾートホテルだけでなく、温泉旅館やシティホテルにも取り入れられています。
このトレンドはここ数年で急速に顕在化しました。じゃらんやExpediaの旅行トレンドとしても取り上げられるなど、まさに“今”のキーワードとなっています。
では、なぜ今、日本で拡大しているのか
背景には複数の要因があります。
・コロナ禍による旅行スタイルの変化
観光地を巡るよりも、宿泊施設内での滞在そのものを楽しむ「おこもり旅」が主流となりました。
・人手不足と人件費の上昇
個別精算や追加注文の手間が減るオールインクルーシブは、業務の効率化につながります。
・SNSとの親和性
ラウンジのフリードリンクや夜食サービスは視覚的な魅力が強く、拡散されやすいコンテンツです。
実際に、ホテルチェーンによる大規模な導入も進んでいます。
2024年にはグランドメルキュールが全国で一斉展開を開始し、2025年には大江戸温泉物語の「TAOYA」が各地でオープンするなど、業界全体での広がりが加速しています。
■ 急拡大の裏で起きている問題
一方で、この流れは決して良い影響をもたらしているだけではありません。
一番の問題は、「オールインクルーシブ」の安易な導入です。
十分な設計がされていない状態で、「オールインクルーシブ」という名前を冠す施設が増加しました。中でも良くあるパターンが、単にドリンクを無料にしただけ(ドリンクインクルーシブ)の施設です。このような施設は、一時的な流行には乗ったものの、徐々に期待とのギャップからお客様からの満足度を落とし、結果的にオールインクルーシブ自体を取りやめたり、経営難に陥るケースも出ています。
次に、「居酒屋化」の問題です。
手頃な価格帯の施設では、お客様により元を取ることを目的とした過度な飲酒が発生し、静かに過ごしたい利用者にとっては満足度を大きく損なう要因となっています。また宿泊施設からしても、マナーや客層の問題に対応せざるを得なくなり、結果的に手間やコストがかかってしまうことになります。
さらに顕著なのが、物価高の影響です。
特に低価格帯では、食材費や運営コストの上昇により採算が合わず、サービスの縮小や質の低下が起きています。さらには、オールインクルーシブを維持するために、食事やサービスなど宿泊施設の根幹部分へのコスト削減も発生し、結果として「何のためにオールインクルーシブをしているのか」という本末転倒な状況に陥ることもあります。
■ 次のフェーズに求められるもの
こうした課題に対し、多くの施設が対策を模索しています。
ラウンジの時間制導入や、高単価ドリンクの有料化、グラスサイズの調整など、原価を抑える工夫が進められていますが、これらは一歩間違えれば“改悪”と受け取られ、満足度低下やクレームにつながるリスクもあります。
つまり、単なるコスト調整だけでは生き残れない段階に入っています。
今後の方向性として重要なのは、次の2点です。
・「飲み放題」に依存しない価値づくり
フリードリンクは重要な要素である一方、それに依存しすぎると採算をとるのが難しくなります。
お酒を飲まない人でも満足できるよう、ノンアルコールやスイーツ・おつまみの充実化、文化・制作体験、ウェルネスプログラムなど、体験価値の充実が不可欠です。館内で完結しなくても、地域と連携してアクティビティを提供することも選択肢の一つです。
・コモディティ化からの脱却
どこでも飲んだり食べたり体験できるようなサービスでは、選ばれる理由にはなりません。
その土地ならではの食材やストーリーを十二分に加え、「わざわざそこへ行く意味」「その宿(エリア)でしかできないオールインクルーシブ」をいかに設計できるかが重要です。
例えば、オールインクルーシブの内容自体を工夫することもそうですが、果物の産地であれば、「果物×オールインクルーシブ」、海辺の宿であれば、「海の幸×オールインクルーシブ」、など、オールインクルーシブと何かテーマを組み合わせる構成にすることでも、その宿の独自性を創出することは可能なのです。
■ まとめ
オールインクルーシブは、「お得なプラン」という段階を超え、宿泊体験そのものの価値を問うフェーズに入りました。
急拡大の反動として課題も顕在化していますが、それは同時に進化の過程でもあります。
これから生き残るのは、価格ではなく“体験の質”で選ばれる施設です。
オールインクルーシブはいま、その本質が試されているのです。
■ 最後に
プライムコンセプトでは、ホテル・旅館の支援において1000施設以上の実績を持っており、様々なWEB集客サポートを行っております。
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