東日本大震災発生後の観光地の現状 第4弾 松島及び周辺地域(2012/5/11~5/13)

前回訪れた東松島にある東京都大田区の支援ボランティアセンターに再び行って参りました。今回の目的は実際にボランティア活動をする事がメインでした。お手伝いさせていただいた被災地の住民の方に貴重なお話を伺うこともできましたので御報告いたします。

大田区東名サテライト訪問

 

ボランティア活動へ出発

 

当時のままの状態で放置されている家屋も多数あり

 

今回の作業は住宅のお庭の草むしりのお手伝いでした

 


皆で作業するとあっという間に綺麗になります

作業後、ここの住民の方にお茶をいただきました。そこで生々しい震災当日のお話をしていただけました。このお宅からさほど離れていない場所に当時、特別養護老人ホーム「不老園」がありました。ほどんどの入所者が犠牲になりましたが、奇跡的に助かった方が3名いらっしゃいます。この方、実は新聞等で報じられている事実に深く関係している方でした。以下、その記事らしきものを発見しましたのでご一読ください

○…不老園の入所者は58人のうち55人が犠牲となった。わずか3人の生存者は、職員の福田敏和さん(46)が運転する避難の車に乗っていた。道中で津波に襲われたが、いくつもの幸運が味方した
 3月11日は非番で、野蒜小の近くの自宅アパートにいました。ものすごい地震の揺れだったので、「これは津波が来るな」と思った。なので不老園に行って避難の手伝いをしようと家を出ました。災害時は近くの職員が助けに行くものだと思っていましたから。
 園に着いたころには、みんな避難のために玄関に出てきていました。入所者のほとんどは車いすです。要介護度は平均4以上、平均年齢は86歳。普段の会話もままならない人も少なくない。
 私は園の車に入所者3人を乗せて、野蒜小まで行きました。体育館が指定避難所になっているからです。
 3人を体育館で降ろして不老園に戻り、また別の3人の女性入所者を乗せました。出発してまもなく、細い運河を渡ろうとしたころ、津波に襲われました。
 水が迫ってくるのが見えたので、私はとっさに運転席から外に出ました。車には入所者3人が乗ったままなので、車が流されないよう、外からどうにかしようとしたんだと思います。
 でも、小舟とか家の破片とか、そういうものがたくさん流れてきて、とても車を守るどころじゃなく、車は運河のあたりを葉っぱのように流れていきました。
 自身も津波にのまれた福田さんは、近くの植木に引っかかり、そばの民家の2階へ上がって助かった。服を着替えさせてもらったが、寒さと恐怖、車を見失った罪悪感で、震えが止まらなかった
 車を発見できたのは翌日の朝です。運河の近くの木のおかげで、流されずにとどまっていました。窓は一部が開いていたのに水は入っておらず、3人とも生きていました。いつも鼻から酸素吸入の管を通しているような入所者もいるのに、奇跡的なことです。
 3人とは、ほとんど会話にはなりません。見つかった時から「あー」「うー」とうめき声をあげるだけでしたから。その後、3人は別々の特養ホームに移りました。
 震災後、3人の家族からお礼を言われたりしましたが、私はあれだけ多くの命が失われてしまったショックや申し訳ない気持ちが大きいです。家族の方々も、奥さんなどの身内を亡くされた人もいて、とても手放しで喜び合える状況じゃありませんでした。(2011/9/20中日新聞)

この記事に記載されている職員の福田さんが助けを求めた民家で我々はボランティア活動をしていた事がわかりました。住民の方は2階へ非難していたところ福田さんが現れたので、毛布などを提供されたようです。風が強くとても寒い地域でしたので、どんなに救われたことか計り知れません。数多くの場所でこのような助け合いのシーンがあったのではないかと思われます。このような経験をされた方に、ほんのわずかですがお手伝いをさせていただき、お話していただいた事に感謝いたします。

 

観光地としては塩釜へ訪れました
塩釜といえば早朝の魚市場

 

ここは浸水はしたものの、家屋への被害はほとんどなく再開も早かったようです
早朝にも関わらず、ツアーバスらしき車も見えていて場内は賑わっていました
まぐろをさばいているお店が多く、そこで買った新鮮な魚介類でオリジナル海鮮丼を作ることができます。我々は市場前の食堂でうに丼を食べました。美味しかったのは言うまでもありません。
もう1つ忘れてはならないのが塩釜神社
古くから東北鎮護・陸奥国一之宮として、朝廷を始め庶民の崇敬を集めて今日に至るとあるように、非常に風格のある神社です

 

 

広大な敷地に数種類の桜が植えてあり、国の天然記念物でもある塩竃桜もまだ咲いた状態で観ることができました。
塩竃に訪れたら是非立ち寄っていただきたいスポットです

前回の訪問から3ヶ月という短期間で現地へ向かうことができましたが、手作業を必要とするボランティア活動の需要はまだまだあります。昨年の石巻の活動よりちょうど1年後というスケジュールでもありましたが、当時東北道のSAなどで見受けられた団体バスは少なかったように感じます。現在関東各地の自治体でも観光促進事業として色々な支援を行い始めています。是非こういった制度を利用し、観光という目的でも構いませんので現地に赴いていただきたいと願っております。